この記事は前回の続きの記事になります。もし前の記事を見ていない場合はそちらを読んでから読むことを推奨します。今回の記事では実際にトヨタ自動車(7203)の2023年3月期の財務諸表を用いて5つの分析の内の収益性分析を実施していきたいと思います。私自身初めての分析になりますので、今までやったことがない人も一緒に手を動かしてやってみましょう!各企業の財務諸表は上場企業であれば各社ホームページのIR情報から見れると思います。
収益性分析
収益性分析とは企業が収益をしっかりあげられているかを分析するもので、企業の稼ぐ力がどのくらいあるかがこの分析でわかります。以下の7つの指標を使うことが多いようです。それぞれについて実際の数値を使って説明していきます。
ROA(総資本利益率)
ROA(総資本利益率)は株主や銀行などから集めたすべての資産(総資本)が利益獲得のためにどれほど効率よく利用されているかを示す指標になります。なので高い値なほど優秀な企業ということになります。またROAは5%以上の時に優秀な企業と一般に言われています。業種によっては前後あると思いますが一旦は5%以上なら優秀!と覚えておくとよいと思います。ROAを求める式は以下になります。
ROA(%) = (当期純利益 ÷ 総資産) × 100
トヨタ自動車のIR情報から財務諸表を見てみると以下のことがわかります。
当期純利益:2,492,967,000,000
総資産:74,303,180,000,000
二つの値を式に入れてみると ROA(%) = (2,492,967,000,000 ÷ 74,303,180,000,000) × 100 = 約3.36%
約3.36%という数値になり5%を超えていないので優秀じゃないとなりそうですが、トヨタ自動車は製造業であることから設備投資などが多くどうしても総資産が多くなるため5%を超えていなくても優秀なんじゃないかなと勝手に思いました。逆に情報通信業などは比較的総資産が少なくなりROAの値も大きくなりやすいのでは…?と想像します。先述のようなことがあるので比較する際は同業種がよさそうですね!
ROE(自己資本利益率)
ROE(自己資本利益率)は自己資本を元手にどれだけ効率よくお金を稼ぐことができているかを示す指標になります。自己資本というのは簡単にいうと借金などではない返済不要の資産のことです。自己資本は純資産と同義で総資産から総負債を引くことで計算できます。ROEは8~10%あれば優秀な企業と一般に言われています。ただROEはROAと違い、純資産を減らすことで数値として大きくなるので自己資本率等も確認する必要がありそうですね。ROEを求める式は以下になります。
ROE(%) = (当期純利益 ÷ 自己資本(純資産)) × 100
トヨタ自動車のIR情報から財務諸表を見てみると以下のことがわかります。
当期純利益:2,492,967,000,000
自己資本:29,264,213,000,000
二つの値を式に入れてみると ROE(%) = (2,492,967,000,000 ÷ 29,264,213,000,000) × 100 = 約8.52%
約8.52%という数字になりました。さすがトヨタ自動車ですね!ただROEで効率よく利益を稼いでいるかを判断するのはROAに比べて玄人向けだなと調べれば調べるほど感じました。
財務レバレッジ
財務レバレッジとは借入金や社債などをテコとして用いることで自己資本より何倍の純資産になっているかを示す指標です。この指標は大きいほど会社の経営が圧迫されている可能性があります。ただ少なすぎると積極的な経営を行っていない可能性も高まります。繰り返しにはなりますが、財務レバレッジが高い企業は積極的な経営もしくはかなり圧迫されている。財務レバレッジが低い企業は資金力がとても強い企業もしくは消極的な経営と考えられます。財務レバレッジは2倍を超えないことが優秀な企業と言われています。財務レバレッジを求める式は以下になります。
財務レバレッジ(倍)=総資産÷自己資本(純資産)
トヨタ自動車のIR情報から財務諸表を見てみると以下のことがわかります。
総資産:74,303,180,000,000
自己資本:29,264,213,000,000
二つの値を式に入れてみると 財務レバレッジ(倍)= (74,303,180,000,000 ÷ 29,264,213,000,000) = 約2.54倍
上記の結果と利益をしっかり出していることを考えるとトヨタ自動車は積極的な経営を行っていると考えることができると思います。こちらの値も業界によって変わってきそうなので業界の平均と比べるとよさそうですね。
総資産回転率
総資産回転率とは総資産がどれだけ効率よく売上高を生み出したかを示す指標です。1年間に総資産が売り上げとして何回転しているかです。現金⇒商品⇒売上⇒現金のサイクルですね!この値は大きければ大きいほどうまく資産運用ができているということになります。会社の規模が業種が違ってもどちらが効率よく運用できているかは比較できそうです。総資産回転率は1を下回るのはよくない状態です。例外としてこの指標は小売業・卸売業・不動産業などでは目安としてはうまく作用しないようです。総資産回転率を求める式は以下になります。
総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
売上高:37,154,298,000,000
総資産:74,303,180,000,000
二つの値を式に入れてみると 総資産回転率 = (37,154,298,000,000 ÷ 74,303,180,000,000) = 約0.5回転
トヨタ自動車の総資産回転率は1を下回っているのでよくない状態なのでしょうか…。本田技研工業の値を確認すると大体0.69だったので自動車業界はもしかしたら低いのが当たり前なのかもしれませんね。
損益分岐点
損益分岐点とは売上高と費用がちょうど一致し、それ以上売上をあげることで利益を上げることができる目安の指標になります。経営するうえではかなり重要になってきそうですね。ただ、この指標は固定費と変動費がわからないと正確に出すことができないので外部から正確な値を出すことは難しそうですね。ということで今回は算出をしません。ちなみに損益分岐点を求める式は以下になります。
損益分岐点(売上高) = 固定費 ÷ (1 – (変動費 ÷ 売上高))
売上高総利益率
売上高総利益率とは会社の収益力を示す指標です。俗にいう粗利率のことです。もちろん値が大きいほど会社の収益力が高く、その会社の商品には付加価値が高いことになります。売上高総利益率は20%を超えていることが望ましいです。売上高総利益率を求める式は以下になります。
売上総利益率(%) = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
売上総利益:????
売上高:37,154,298,000,000
二つの値を式に入れてみると 売上総利益率(%) = (???? ÷ 37,154,298,000,000) × 100=
財務諸表からは現在の私では売上総利益率がわかりませんでした。税引き前利益+売上原価以外の費用で算出できるのでしょうか?今後うまく算出できるように頑張ります。
売上高営業利益率
売上高営業利益率とは売上高総利益率と同じく、会社の収益力を示す指標です。こちらはよく営業利益率という言葉で聞くと思います。売上高営業利益率は会社の総合的な稼ぐ力を示すためいろんな会社の経営で注目されていると思います。売上高営業利益率は5%を超えると優秀です。売上高営業利益率を求める式は以下になります。
売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
営業利益:2,725,025,000,000
売上高:37,154,298,000,000
二つの値を式に入れてみると 売上高営業利益率(%) = (2,725,025,000,000 ÷ 37,154,298,000,000) × 100= 約7.33%
トヨタ自動車の営業利益率は7.33%ということでかなり財務状態が安定してそうです。投資家からも評価されそうですね。
まとめ
- ROAは5%以上が優秀!
- ROEは8~10%以上が優秀!
- 財務レバレッジは2倍以下が優秀!低すぎても良くない!
- 総資産回転率は1以上が優秀!
- 損益分岐点は経営する際にしっかり把握した方がよい!
- 売上高総利益率は20%を超えていると望ましい!
- 売上高営業利益率は5%異常が優秀!